医療系 第8回 「臨床工学技士学生時代①」
臨床工学技士は基本3~4年の養成期間を要しますが、
今回は私が入学した1年課程について紹介します。
・前期
前期は専門科目を履修しながら、ME2種の合格と実習の履修、就職の内定を目標に過ごします。(後から知ったのですが、専門科目も医療系の学校を卒業していれば履修登録できます。私はめんどくさかったので、登録しませんでした(笑))
ME2種はME技術者のための基礎的な知識を問う試験です。
臨床工学技士だけでなく、その他医療職種やメーカー、一般人も受験が可能です。
臨床的には活用できない資格なので、
実際はME1種の受験資格を得るための試験である側面が強いと感じています。
ぶっちゃけ取っても取らなくてもどっでもいい資格です。
臨床工学技士の免許があれば、ME1種は受験可能です。
実習の履修は大切です。
1~2か月を通して、臨床に出向き、実際の臨床工学技士業務を学びます。
血液浄化、機器管理、手術、カテーテルなどなど。
臨床工学技士の職務は多岐にわたるため、毎日学ぶ事が多いです。
学生は実習日報とレポートに追われることになります。
しかしながら、実習で学んだ症例や患者は実際に働くようになってからも覚えていることが多く、
これからの技士人生でも貴重な財産になると思います(これは看護実習に通じるものがあります)。
臨床工学技士の就活
臨床工学技士の就職活動は地域差がとても大きいと考えています。
看護師の比ではありません。
全国的には臨床工学技士の数は足りているといわれています。
いわゆる飽和状態です。
そのため、総合病院でも就職先が少ない県もあれば、
地方に行けばより人が少なく求人が多いのが特徴です。
医療系 第7回 「臨床工学技士の養成校について」
臨床工学技士になるためには、大学4年間や専門学校で1~3年の就学と国家試験に合格することでなれます。
なぜ、1年で臨床工学技士になれるのか?
「大学・短大において2年以上就業し、指定科目を履修した人」
養成校の詳細はそれぞれ確認が必要ですが、大学中退でも1年で臨床工学技士になれる時代です。
だれでも医療職になれます。他の医療職は3年以上の就学が必須です。
指定科目とは放送大学等のリモートで履修可能なので、専門大学に入りなおす必要はありません。
まとめると
高校卒業 → 3年、4年制大学、専門学校
短大卒業 → 2年制 専門学校、短大
社会人 → 指定科目履修後、 1年制専門学校
私は1年制の学校に入学しました。
入学金、授業料だけで150万円が必要になったので、奨学金でも何でもいいので、お金が必要です。
ただし、
教育訓練給付制度
を活用したので、全額は無理ですが、60万円ほど国から補助して頂いたので、
貯金と合わせて準備できました。
詳しい詳細は学生時代編で語りたいと思います。
参考資料の詳細はこちら↓
公益財団法人 医療機器センター
医療系 第6回 「手術看護師時代の話②」
・4、5年目
新人教育を任される時期です。人に教えるのは慣れておらず、
後輩の面倒を見ながら、自分の業務をこなすのはかなりのプレッシャーでした。
そんな頃にCE(ME)という職業に興味を持ちました。
興味を持ったエピソードを紹介します
エピソード①
心臓手術では心臓を止めて手術を行わなければならないため、手術中は人工心肺装置に生命維持を預けます。
人工心肺装置を初めて見た時は、何もわかりませんでした。
たくさんのローラーポンプが付いていたのはよく覚えています。
心臓手術の時の方に色々教えてもらえました。
あまりに専門性が高かったので、面白そうだなと思いました。
エピソード②
ペースメーカは聞いたことがある人がほとんどだと思います。
刺激伝導系の洞結節が本来の「ペースメーカ」です。
止まることなく、心拍を刻みます。
しかし、そのペースメーカの機能が落ちたり、電気刺激の道が途絶えたりすることでこの機能が維持できない疾患があります。
その場合、人工のペースメーカを植え込みます。
DDD、DDIなどの設定があり、プログラマにて設定します。
手術では電気メスを使用するため、ノイズが入る可能性があるため、干渉しない設定します。
これも臨床工学技士が行います。
手術前に来て、麻酔科医と話しながら設定する技士に
「技士はいろんなことができるな」
と思いました。
エピソード③
整形外科の手術で斜角筋ブロックを行い、呼吸筋の抑制が起きた症例がありました。
麻酔科医をすぐに呼び、NPPVが必要だと言われ、使用しました。
当時は「え、人工呼吸器なんて初めてみる!」という気持ちでよくわかりませんでした。
技士が手術室に持ってきてくれました。
「こういう機械(人工呼吸器)も技士が管理するんだな」と思いました。
エピソード④
「ダヴィンチ」を古巣で導入するときに技士の方々が尽力してくれました。
後々は看護師だけで管理できるようになりました。
上記のように当時は技士と接する場面がたくさんありました。
技士との関わりの中で私は、
「臨床工学技士の知識や技術を持った看護師がいれば最強じゃね?」
と思いました。
これなら自分が医療により参加でき、医療職から信頼される人材になれると思い、
臨床工学技士になることを決意しました。
Q&A
Q.なんで退職してまで臨床工学技士なる決意をできたのか?
A.手術室看護師5年目になり、ほぼすべての手術に従事することができました。
手術室看護師のキャリアをどうするか考えていた時期で、今後のキャリアを考えていました。
まだ当時26歳であり、臨床工学技士で3年目になっても30歳のため、
また看護師に戻ってもキャリアを積める年齢だったことも大きいです。
まだ結婚していなかったのも、無茶ができた理由の一つです。
3Cはいつも心にあります。
Chance
Challenge
Change
変わるチャンスを見つけ、挑戦し、変えていく。
何歳になっても大切です。
katsuyablack
医療系 第5回 「手術看護師時代の話①」
手術室看護師として5年間やりました。
あまり詳しくは語れませんが、
救急病院ということもありほぼすべてのオペにつくことができるようになりました。
・新人
まず初めに覚えたのは点滴ルートの作成と気管挿管介助だったのは、今でも覚えています。
一般病棟で覚えないことを覚えるのはスペシャリスト感があって凄いと当時思いました。
急変時にも使えるをスキルをたくさん覚えました。
今でも大変助けられています。
・2、3年目
ひたすらオペにつきながら、知識と技術を高めていました。
オペの内容も高度になるため、毎日が勝負でした。
先輩について院内の係の仕事をこなし、オペ室の一員なんだと自覚できた頃でした。
当直業務は緊急性のあるオペには一通りつけられなければならないため、
当直につけるようになったときは、とても嬉しかったです。
Q&A
Q.なんで手術室看護師だったの?
A.先のブログにもあるように、チームバチスタⅡから看護師になることを目指したため、
当時は急性期に従事したと強く思っていました。
入職時に配属部署希望を提出しますが、
私は
①手術室
②ICU
③HCU
の順番で希望しました。
後になって聞いた話ですが、手術室は看護師の入れ替わりが激しく、
希望に書いた瞬間に手術室配属になっていたそうです(笑)
第一希望だったので、私はよかったですが(笑)。
Q.気管挿管とは?その介助?
手術中に患者は全身麻酔であれば、麻酔薬で鎮静されて呼吸が止まるため、
呼吸が人工呼吸(自分以外の呼吸の総称:口to口だけでなく)に依存します。
麻酔医師は肺に直接酸素化された空気を送るために気管に気管チューブを留置します。
気管挿管中に麻酔医師は目が離せないため、挿管物品を渡すのが、挿管介助です。
渡す順番、挿管中の歯牙欠損の有無の確認、挿管中のバイタル観察などは看護師の仕事です。
麻酔薬や挿管手技によって脈拍が遅くになったり、早くなったりはよくあります。
Q.他にはどんなことをするの?
A.病院によって業務内容は大幅に変わります。
業務の幅についてCEの回でお話しますが、看護師当時の状況で話すと、
・手術前
手術部屋準備、手術使用物品準備、薬剤準備、点滴準備、圧モニタリング準備
・手術中
挿管介助、体位固定、患者バイタル観察、身体有害事象有無(褥瘡、点滴もれ、熱傷など)、ガーゼカウント、物品出し、薬剤準備、手術中直接介助
・手術後
申し送り、薬剤コスト、部屋掃除、器械の片付け
具体的な内容をもっと知りたい方はこちらも!
Twitter:(20) K.M@流浪の臨床工学技士さん (@katsuyablack) / Twitter
手術室看護師関連の書籍を紹介しておきます。
医療系 第4回 「有効求人倍率と求人の話」
昨今はコロナ禍ではありますが、依然として世の中は人で不足の状況と言われております。
厚生労働省が発表しているデータでは
有効求人倍率「1.63」
この数字はどういう意味か分かりますか?
これは100人の求職者に対して、163人分の仕事がある状態です。
圧倒的に人よりも仕事の方が多い状態です。
仕事を選ばなければ、完全雇用の世の中です。
各分野で倍率は異なりますが、事務仕事以外は軒並み1.0を超えています。
医療職はどうでしょうか?
職種 |
有効求人倍率 |
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 |
3.77 |
2.07 |
|
医療技術者(理学、作業、CEなど) |
2.95 |
介護サービス職業(施設介護、訪問介護員) |
3.94 |
医療職は圧倒的に足りていません。
各職種で細かく見ていくとさらに現状が分かります。
看護師の有効求人倍率は2.31倍
6倍はどういう医療状況なのか想像を絶します。
こうした状況から、看護師の就活はないに等しいのが現状で、
都内の大学病院など人気病院に固執しなければ就職は100%可能です。
私も就活はほとんどせず、実習病院にお守り気分で試験を受けて何事もなく受かりました。
就職試験はクレペリン検査などの性格検査や国家試験過去問、ナラティブと呼ばれる作文や小論文があり、面接でのウェイトが大きいのが特徴です。
よっぽど面接でヒドイ結果でなければ受かります。
参考資料
厚生労働省 一般職業紹介状況 令和1年
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00017.html
看護師は常に人手不足?データから読み解くナースの求人状況 (libraryplus.jp)
医療系 第3回 「看護師養成校の話」
私が入学した専門学校は、1学年3クラスの30人クラスです。
入学前から分かっていたこととはいえ、周りは女性ばかりで、男性は各クラスに3人ずつしかいませんでした。
臨床の病院では、1病棟に1人は男性看護師を見かけるようになったので、各クラスに1人か2人はいると思います。
圧倒的にマイノリティなのは今も昔も変わりません。
・1年生
1年生は座学と学内実習がメインです。
座学内容は一般教養科目(英語、外国語、保健体育、哲学、人文学、行動科学など) と、
専門科目(基礎看護学、老年看護学、成人看護学、医療概論、微生物学、解剖学など)
学内実習は(環境整備、清拭、寝衣交換、食事介助など)
院内実習はすこしありますが、日数は多くありません。
・2年生
2年生は座学と院内実習がメインになります。
座学内容は上記に引き続きでありますが、院内実習の割合が増えていきます。
老年、成人、小児、新生児、産科、在宅など各クール3~4週間あるため、たいへん辛いです。
最近は臨床でも学生に対して教育に協力していく姿勢が見えているところも多くなりました。
昔は、朝カンファレンスで挨拶しても無視をされたり、実習中に放置されたりはざらにありました。
帰校日があったので、その日はクラスの同級生と情報交換をしてストレスを発散していました。
・3年生
3年生は院内実習と卒論、国家試験対策、就活です。
4月から夏まで毎日実習です。そして帰校日は卒論作りに終わります。
今思えば充実していたといえますが、やってる本人はしんどい毎日でした。
専門学校は3年しかないため、詰め込まれます。
4年制のカリキュラムの場合はもっと余裕があると思います。
夏以降はほとんどが国家試験対策です。
国家試験は必修問題と各分野問題、状況設定問題に大きく分類されます。
必修問題
→基本的な問題が出題されますが、
8割得点できないと、問答無用で不合格です。
各分野問題
→主に知識を問う問題です。
状況設定問題
臨床に起きるさまざまな状況に合わせた問題が出題されます。
そのような状況で何が必要と考えられるか、どんな行動が最適かなどを答えます。
対策としては国家試験の過去問3年分を3回ずつやれば、合格県内にはいけると思いますが、必修問題は自分の得点率に応じて、回数を増やしてもいいと思います。
おススメの過去問を載せておくので、参考にしてください。
医療系 第2回 「看護学校への受験」
正看護師(以下看護師)になる方法は最低でも3年の就学期間が必要になり、
専門学校と大学の選択肢があります。専門学校でも4年制の学校も存在します。
看護師は医療系のため、理系でなければ受験しづらいというイメージもあるかもしれませんが、
実際には理系、文系どちらでも受験しやすくなっている養成校が多いです。
ちなみに私が受験した大学は、当時の情報ですが、センター試験(現在の共通テスト)利用の場合、
受験科目は国語、数学、理科、外国語、地歴、公民のそれぞれ1科目ずつ選択して受験しました。
しかしながら、その国公立の大学は受からず、公立の専門学校に受験し受かりました。
専門学校の問題は教科書の例題レベルの問題が出題されたため、応用の問題は出ませんでした。
科目は数学Ⅰ・A 、現国、英語の3科目だった気がしますが、ほとんど覚えていません。
余談・・・むしろここからが重要
Q.同じ看護師の国家資格を取るのになんで専門と大学があるのか?
A.専門=主任まで 大学=主任以上
建前上、専門学校が国家資格取得を第一にし、臨床への活躍を目指しており、
大学では将来的に学会や研究などに注力できる人材を意識しています。
本音は言えば、大学病院や付属看護学校を持っている病院では、
大学卒業資格や、附属看護学校を卒業していないとその病院に入りにくい、または入ってから主任以上になれないのはよくあります。
※もちろん例外もありますが、
Q.入学後の授業料免除って実際どうなの?
A.その学校や提携病院によります。
看護師は需要のある職業であり、免許取得後に就職できないことはありません。
そのため、数百万の授業料を免除できるのはコスパはよいです。
しかし、提携の病院で数年勤務することを強いられるため、移動の自由は制限されます。
病院によっては授業料を給料から5万ほど天引きされる病院もあるため、生活資金が制限される場合もあり、知り合いがいれば確認することを強くおススメします。
日本学生支援機構の奨学金は金利が低く、資格取得後に就職がほぼ確定しいることを鑑みると、
こちらの方が移動の自由がある分、コスパが良いかもしれません。
国家資格がとれれば御の字と言われる看護師ですが、
看護師キャリアを考えたときには、大学での看護師資格取得をおススメします。
しかし、看護系の大学は学費が高いため、どこなら行けるかは検討してください。
専門学校から3年次編入という荒業もありますが、狭き門なので主席とかでなければ難しいです。
長くなりましが、皆さんの参考になれば幸いです。
筆者が受験生に時代に使用していた書籍を載せておきます。
katsuyablack